マクロスコープ:日銀利上げ判断、高市首相の「最終責任」発言が懸念材料

12月1日、日銀の植田和男総裁が金融政策に関して発言したことを受け、12月会合での追加利上げの可能性が市場で急速に意識され始めた。特に注目されるのは、これまで利上げに慎重な姿勢を示してきた高市早苗首相が、今後どのような態度を示すかだ。市場関係者や政府内では、「首相の姿勢次第で日銀の判断が難しくなる」との見方が浮上している。
植田総裁は12月18〜19日の金融政策決定会合で、利上げについて「適切に判断したい」と述べた。これに対し、経済官庁幹部は「まだ最終的な決定ではない」と慎重な見方を示す。背景には、首相と日銀の微妙な距離感があるという。高市首相は利上げによる景気悪化や支持率低下を警戒しており、「マクロ経済政策の最終責任は政府にある」との持論が、利上げの判断に影響を及ぼす可能性があるとされる。
一方で、今年度の補正予算案編成過程では、政府が為替や長期金利の動向を強く意識している様子が見て取れる。片山さつき財務相が折に触れて市場動向を首相へ報告していることや、円安・金利上昇を抑制するよう助言していることも明らかになった。こうした状況から、首相と日銀の間で緊密な意思疎通が図られる中、利上げの可能性が高まったとの見方もある。
市場の反応も敏感だ。植田総裁の発言を受け、物金利スワップ(OIS)市場では12月会合での利上げ確率が一気に82%まで跳ね上がった。ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミストは、「利上げが行われない場合、2〜3円ほど円安が進む可能性もある」と指摘する。市場は首相の意向と日銀の独立性、両方を注視している状況だ。
日銀幹部経験者によれば、利上げを見送れば円安進行の責任は日銀に、利上げを決行すれば株安進行の責任も日銀に求められる、と高市政権が意図している可能性があるという。最終的な政策決定において、政府と日銀の微妙な駆け引きが市場に大きな影響を与えることは間違いない。
現状では、高市首相が以前のように利上げを嫌がっているわけではなく、日銀の最終判断を見極めつつ、利上げによる景気への影響や国民への説明責任の「落としどころ」を探っている状況だ。12月の金融政策決定会合は、日本経済の方向性を占う重要な局面となる。
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