北香那の演技力は業界内でも知れ渡っていた? 『ばけばけ』キャスティング秘話

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NHK連続テレビ小説『ばけばけ』が放送中だ。明治期の松江を舞台に、没落士族の娘・小泉セツと、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルにしたヘブンが紡ぐ夫婦の物語が描かれている。西洋化の波が押し寄せ、価値観が大きく揺れる時代の中で、埋もれてしまった人々の息づかいを丁寧にすくい上げる作品だ。

物語が進む第9週では、新たな登場人物・リヨ(北香那)が姿を見せる。松江藩の流れをくむ江藤知事(佐野史郎)の娘で、英語教師のヘブン(トミー・バストウ)と月照寺で出会った瞬間に心を奪われ、主人公トキ(髙石あかり)へ「協力してほしい」と真っすぐに頼み込む。物怖じしない強気な性格が印象的なキャラクターだ。

◆ 北香那の起用理由「説明不要の存在感」

制作統括の橋爪國臣は、北香那のキャスティングについて次のように語る。

「北さんはこれまで多くの作品で強い印象を残してきた俳優。芝居の巧さに加えて、心の奥に秘められた“業”のようなものまで表現できる稀有な存在です。今回のリヨという役は、その魅力がまさにハマると感じました」

北が所属する「アルファエージェンシー」には豊川悦司、柄本佑、伊藤沙莉など実力派が多く名を連ねる。橋爪は「以前から事務所から推薦の声があり、いつか一緒に仕事をしたいと思っていた」と明かす。

◆ 筆者・ふじきみつ彦はキャスティングに“口出ししない”

脚本を手がけるふじきみつ彦は、『バイプレイヤーズ』シリーズで北を“ジャスミン”として活躍させた人物だ。だが、今回の配役とは直接関係はないという。

「ふじきさんはキャスティングに口を出さない方。脚本家が俳優を縛ってしまうと作品世界の広がりを損なう、という考えを持っているんです。『決めたキャストにNOは言わない』という姿勢で、現場を信頼してくださる」

こう語る橋爪の言葉からも、信頼関係の中で作られている現場の空気が伝わってくる。

◆ 史実を“わずかに残した”オリジナルキャラクター

リヨは完全な創作キャラクターではなく、わずかに史実が下敷きになっている。橋爪によると、当時の島根県知事には実際に娘がおり、小泉八雲にウグイスを贈った記録や、好意を寄せていた可能性が示される資料が残っているという。

「もちろんリヨほど行動が大胆だったわけではないでしょうが、セツが複雑な思いを抱いたかもしれない、という想像の余地が残っています。ただし、物語の9割以上はオリジナルです」

トキとヘブンの関係に“揺れ”が必要だったこと、そして異なる背景を持つ女性が現れることは歴史的にも自然だとし、そこからリヨが生まれたという。

◆ 語学レッスンして撮影に臨んだ北香那

リヨは東京で英語教育を受けた設定。英語教師の錦織を演じる吉沢亮がストイックに役作りを続けていることが話題だが、北もまた語学レッスンを受けて本作に挑んだ。

「完璧な発音を求める役ではないため、プレッシャーを与えすぎないように現場と相談しながら進めました」

撮影前、不安を漏らす北に声をかけながら、自然体の演技が引き出されていったという。

◆ 第45話では、リヨがついにヘブンを案内

明日放送される第45話では、リヨがヘブンを松江の名所へ案内する場面が描かれる。大胆なアプローチが飛び出すのか。そして、2人の仲を阻止しようとする錦織(吉沢亮)はどんな行動に出るのか。見どころが詰まった回になりそうだ。